実際に「離婚」という人生の大きな決断をした人たちに話を聞くと、さまざまな声が聞こえてきました。
自分から別居したものの、急に寂しさに襲われた
「自分から別居を言い出したものの、失ってみて急に寂しさが押し寄せてきました」と語るのは、悠人さん(仮名・38歳)。「結婚3年を過ぎたあたりから夫婦関係がギクシャクし始め、妻のキツイ性格に耐えられなくなって、僕から別居を提案しました。でもいざ離れてみると、家に帰っても話し相手がいないことや、うまくいっていた頃の思い出が頭に浮かんできて、急に寂しくなったんです。家事や食事の面でも、どれほど彼女に助けられていたか実感しました。
正直、またやり直そうと言いたかったのですが、自分から一方的に別居を要求した手前、プライドもあってなかなか言い出せず……。そうこうしているうちに彼女側から離婚届を持ってきて、そのままあっさり離婚することになりました」
その後も元妻への未練はあったものの、一人でいる寂しさに耐えられず、離婚して2年後に新しいパートナーと再婚したという悠人さん。今は今で幸せですが、ふとした瞬間に元妻の存在を思い出すことがあるそうです。
離婚は、新しい人生の一歩を踏み出すきっかけにもなりますが、過去を完全に断ち切ることは簡単ではないでしょう。失ったものの大きさに気付いたとき、後悔の念が押し寄せることもあります。
子どもに言われた一言が離婚を後押し
「もっと早く離婚すればよかった」と言うのは、渓子さん(仮名・45歳)。5年間の別居生活を経て、昨年離婚したそうです。「子どもの気持ちを考えると、なかなか離婚に踏み出せませんでした。娘の生活や将来に影響が出るのではないかと心配だったんです。でもある日、娘が『もうパパと離婚したら? ママが幸せなのが一番なんだよ』と言ってくれて……。その瞬間、涙が止まらなくなりました」
その後、渓子さんは離婚を決断。新しい生活がスタートしました。
「離婚後は、いろいろなことが驚くほどスムーズに進むようになりました。子どもも元気でいてくれているし、元夫も新たな人生を楽しんでいるようです。もっと早く離婚していれば、互いにもっといい人生を歩めたのではないか……と思います。
ちなみに私の周りのバツイチ女性は皆、口をそろえて『離婚してよかった』と言っていますね。離婚後、再婚した人もしていない人もいますが、離婚後のほうがイキイキして輝いているように見えます。やっぱり女性は強いですね」
離婚をきっかけに、より幸せな人生を歩み出すことができたという人もいます。決断するには勇気や覚悟が必要ですが、歩き出した先には、新しい幸せが待っていることもあるのです。
離婚は簡単な選択ではありません。しかし大切なのは、自分にとって、そして家族にとって何が最善なのかを冷静に見極めること。人生の大きな転機を迎えるとき、迷いや不安を抱えるのは当然です。後悔しない選択をするためにも、自分の気持ちや状況にしっかりと向き合い、一歩ずつ進んでいきたいですね。
【この記事の筆者:小澤 サチエ】
ライター/エディター。慶應義塾大学文学部卒。『東京カレンダー』Web編集部にて数々のヒット企画を手掛けた後、フリーランスのライター、エディターとして独立。恋愛や結婚、離婚など幅広く執筆。