「やめて!」を勝手に別解釈する「嫌知らず」夫
「うちの夫はボディタッチが激しいタイプ。付き合っている頃や新婚の頃は、愛されている実感があってうれしかったのは事実です。でも結婚して10年以上たって、子どももいるのに通りすがりにお尻を触ったり、子どもが『ママー!』と抱きついてくると、夫がそれ以上にしつこく抱きついてきてイラッとするようになって」そう言って苦笑するのはユウコさん(40歳)だ。8歳、5歳、そして1歳、3人の子がいる。にぎやかな家庭は彼女の何よりの宝物だが、夫の「しつこさ」には辟易(へきえき)としはじめている。
「もともとの夫のそういう癖が激しくなったのは3人目の子が産まれてから。私の目が子どもにばかりいっているから寂しくなったのかもしれません。授乳中に体を触られるのは本当に嫌で……。『気が散るからやめて』『不愉快だからやめて』とはっきり伝えても、『本当は好きなくせに』とニヤニヤ笑うばかりで、どうしてこちらの意図が伝わらないんだろうと不思議でしかたがないんです」
相手が嫌がることを正当化する不思議な夫
嫌だと言っているのに、「本当は好きなくせに」と言われたら、ムカッ腹がたって当然だ。ユウコさんはある日、正面切って夫に、本当に嫌だからやめてほしいと感情を抑えて冷静に伝えた。「オレの愛情表現を拒絶するのかと言われました。いや、愛情表現というのは相手が嫌がることをすることではないでしょと言ったんですが、『わかったわかった』とイラッとしていました。でも結局、直らない。おそらく、夫は自分が正しいと思っていることを嫌だと言われても、自分がいいと思っているんだから大丈夫という考えなんです」
友達に嫌だと言われたらすぐやめて謝ること。ユウコさんは夫の前で、ことさらに子どもたちにそう言っている。夫も「そうだぞ、嫌がることはしちゃダメだ」と横で同意していることに、彼女は首を傾げる。
「夫にはまったく自覚がないという証拠だなと思います。ほんと、あの人のことはよく分からない。子どもたちに悪影響がないように配慮していくしかないですね」
困ったような彼女の表情が印象的だった。