「話しかけやすい人」になるためには?
「話しかけやすさ」はビジネスで必須の対人スキル
人事異動などで、新しい部署、あるいは就職や転職など、新しい環境に身を置く準備で忙しい人も多いはず。新しい環境で頼りになる存在とは、ずばり「話しかけやすい同僚」「話しかけやすい先輩」、そして「話しかけやすい上司」です。
「話しかけやすさ」には、初対面における親近感や感じの良さ、安心感が大切で、ビジネスで必須の対人コミュニケーションスキルともいえます。
今回は、より分かりやすいように、反面教師としての「話しかけづらい人」についても考え、どのようにすればいいのか見ていきます。自分の普段の行動を振り返ってみてください。
客室乗務員も実践する「頼みやすい」「話しかけやすい」表情・所作
旅行先で写真を撮ってもらいたいとき、「誰に撮ってもらおうかな」と選びませんか? きっと、頼みづらそうな人を避け、笑顔で快諾してくれそうな人を選ぶはず。一体どのような点を相手は選びやすいと見ているのでしょうか。航空機内の客室乗務員(以下、乗務員)を例にします。カートで食事や飲み物の準備をしている乗務員が、真顔でうつむいたまま一心不乱に作業に集中していたら。これを見た乗客は、忙しそうな乗務員に遠慮し、頼むことをためらうかもしれません。「乗客の為に早く準備しよう」が乗務員の真意だったのでしょう。しかし、乗務員の表情や態度が「忙しいから声をかけないで、1人で集中させて」との相手を拒否するメッセージと誤認されてしまうのです。
頼みやすい乗務員とは、たとえ下を向いて作業していても、温かな微笑みを絶やさず、ゆっくりとした動きを心掛けているはずです。これは、「ご遠慮なさらず、いつでもお声をおかけください」を意味する非言語メッセージです。
人は忙しく、気持ちに余裕がないとき、つい顔をしかめる、眉間にしわを寄せる、目が吊り上がる、口角が下がる、などの表情になります。また、首や顔の動きが早くなり、瞬きの回数も増えます。
これは、相手を遠ざけてしまうダメ表情です。もし、「話しかけやすい人」になりたければ、温かな表情で顔を上げ、姿勢を正し、ゆっくりと穏やかな所作を心がけましょう。
「視線」「目の動き」には人間の心情を表す深い意味が込められている
知らない人に道を尋ねるとき、目が合った人には、話しかけやすいものです。しかし、目が合った瞬間にサッと目を逸されると、「避けられている」と疎外感に似た感情を抱きます。目を合わせることは、「接近」のメッセージです。目が合った瞬間に目を逸らすことは、「回避」のメッセージで、相手とのコミュニケーションを抑制、遮断してしまいます。そのため、どうしても目を逸らしたい場合は、目が合ってから「1、2、3」と数え、ゆっくり視線を外すようにします。すると、回避とは受け取られずに済みます。
また、目が合った相手をそのまま凝視するのも、否定的なメッセージとなります。これは、相手に敵意や疑い、不信感を抱いていることを表すメッセージですから、受け取る側は威嚇と感じ、その結果、緊張して委縮してしまうのです。自分の視線や目の動きなどを一度録画するなどして確認してみるのもおすすめです。
入国管理官や職質中の警察官も、怪しいと感じた人物と目が合った際、相手がサッと目を逸らすなどの目の動きの瞬間を見逃さず、必ず声をかけるそうです。視線や目の動きにはそれだけ人間の心情を表す深い意味が込められているのです。
「下がった口角・口元を隠す・舌打ち・ため息」は人を遠ざける
口角が下がっていると、不平不満や怒りを表します。これに、舌打ちまで聞こえてくると、相手を遠ざける決定打となります。舌打ちは「周辺言語」と呼ばれ、ため息と同じネガティブな感情を表すメッセージです。近年、職場での舌打ちをパワハラとする向きがあります。舌打ちやため息は攻撃的で威圧的な無言の圧力となります。耳にした相手に不快感を与えるため、相手を遠ざける非言語メッセージです。
口元を隠す仕草は「セルフタッチ」や「自己親密行動」と呼ばれ、不安感や強い緊張から自分を落ち着かせるためのもの。このような仕草から、余裕のなさが感じられてしまうため、職場だと重要な仕事を任せられなくなる可能性があります。
口元が笑っていると、相手の警戒心を取り除き、不安感を払拭します。ソフトで温かな雰囲気を生み出すため、話しかけやすく、話を聞いてもらいたい相手の思いに、口元の表情ひとつで無意識に応えることができます。
鏡やガラス窓がないと、自分がどんな表情をしているのか分かりません。ただ、今回紹介したダメ表情・仕草をなくしていくことで、「話しかけやすい人」に近づけるはずです。昔から、話しかけられやすい人には「人」「もの」「かね」「情報」が集まりやすいといわれ、創業社長など一から事業を生み出した人は「話しかけやすさ」を持ち合わせているともいわれています。
「話しかけやすい人」を目指し、より良い人間関係を築くスタートを切ってください。
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