怒りは本能的な反応……職場やプライベートでも起こりうる怒り
普段は穏やかなのに、怒りにまかせて感情的になってしまった……その後の気まずさは、どう修復すればよいのでしょう?
こうしたときには、感情を抑えきれなかった自分に対する情けない思い、怒った姿を見せてしまった恥ずかしさ、ひどい言葉で相手を傷つけたことによる申し訳ない思い、このような思いに苛まれてしまうと思います。そして、「あんな言い方をしなければよかった」「言いすぎてしまったかもしれない」という後悔の念を引きずってしまうことが少なくないものと思います。
関係修復のためにしてはいけないこと……不自然な言い訳などの自己防衛は禁物!
感情的に怒った側も怒られた側も、その後はお互い、どことなく気まずくなってしまうものです。とはいえ、これから先のお付き合いを考えると、一度生じた心の溝を放置してしまうのは、よくありません。怒りが鎮まり、冷静になったあとには、関係を修復していく必要があります。関係を修復する際に注意したいのは、不自然な言い訳をしたり、他人のせいにしたりしないことです。「感情的になってしまったのは、あなたが私を不快にさせたからであり、自分は悪くありません!」といった他者攻撃的、自己防衛的な態度を他人に向けることは、絶対に避けなくてはなりません。相手との関係をますますこじらせてしまうからです。
関係修復の鍵となる「返報性の原理」……誠実な謝罪、反省、配慮の言葉を
言い訳などで自分を守ろうとせず、怒りの感情をぶつけてしまったこと、相手に失礼な態度をとってしまったこと対して、まずは誠意をもって謝罪しましょう。そして、自分の何が悪かったのかを振り返り、素直な気持ちで反省しましょう。その上で、相手に対する配慮の言葉を述べることです。たとえば、「あのとき感情的に怒鳴ってしまったのは、個人的な事情があってイライラしていたからです。不快な思いをさせて、本当に申し訳なかった」というように、怒りをぶつけた理由を正直に説明し、謝罪します。そして、「個人的な感情を人にぶつけてしまうなんて、大人として恥ずかしいです」というように反省の言葉を述べます。そして、「嫌な思いをさせて、本当にごめんなさい」というように、配慮の言葉を加えます。すると、相手に誠意が伝わるでしょう。
この伝え方は、プライベートの人間関係でも有効です。このような態度を示すと相手は誠意を受け取り、「本気で関係を修復しようとしてくれているんだな」と思うようになるでしょう。
すると、相手も自分の行動を反省するようになります。そして、「私も気を付けるべきでした。そこまで言わせてしまってすみません」「私の方こそ、あなたの気に障るような態度をとってしまったのだと思います。次は気を付けます」というように、反省と配慮の気持ちを伝えたくなるものです。
自分の反省点を素直に伝えて配慮の言葉を投げかけると、相手も同じように自分を反省し、配慮の言葉を伝えたくなるものです。この心理は、心理学で「返報性の原理」といわれています。人は施しを受けた相手に対して、お返しをしたくなる。自分から優しさを投げかけると、相手も思わず優しさを返したくなる。これは、心理学で証明された人の心の自然な反応です。「返報性の原理」に従えば、こじれそうになった人間関係は修復しやすくなります。
感情的になってしまったことを悩んでいる方へ
日ごろから感情的にならないように心がけることも大切ですが、万が一そうなってしまったときには、関係がこじれないように修復していく努力が、とても大切です。繰り返しますが、関係修復のポイントは、誠実な謝罪、素直な反省、相手への配慮です。言い訳をせず、誠意を込めて相手に接すれば、「返報性の原理」によって、相手からも謝罪の気持ち、反省の気持ち、配慮の言葉が返ってくるようになります。すると、仲直りしやすくなるでしょう。